時計の価値を左右する「素材」選びの重要性とは?
腕時計の印象を大きく左右するのが「素材」です。
デザインや機能はもちろん重要ですが、素材一つで時計の耐久性・装着感・そしてブランド価値まで変わってきます。
時計の購入を検討されている方・オリジナルウォッチの製造をご検討されている企業の担当者様に向けて、時計に使われる代表的な素材の特徴と、選定におけるポイントを分かりやすく解説します。
代表的な時計の素材とその特徴
時計には、定番から最新のテクノロジーを駆使したものまで、多種多様な素材が使用されます。
ここでは、特に代表的な素材をピックアップしてご紹介します。
多くの腕時計で採用されている、最もポピュラーな素材です。特に「SUS316L」というグレードは、錆びにくく耐久性に優れており、医療用器具にも使われるほど肌に優しいのが特徴です。美しい光沢を持ち加工がしやすいため、鏡面仕上げ・ブラスト加工・ヘアライン仕上げと金属表面を様々な表情に変更することができます。
コストと品質のバランスに優れており、多くのブランドで採用されています。
ロレックスで使われている金属は「SUS904L」別名「オイスタースチール」と呼ばれていて一般的な「SUS316L」とは異なります。
高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼という名前で、主に化学プラントや海水環境など、極めて過酷な環境で使われる素材です。
ステンレススチールと比較して約40%も軽いのが最大の特徴で、長時間の着用でも疲れにくいメリットがあります。
また、金属アレルギーを起こしにくい素材としても知られ、肌が敏感な方にも安心してお使いいただけます。
強度が高く、耐食性にも優れているため、ダイバーズウォッチやパイロットウォッチなど、過酷な環境下での使用を想定したモデルにも適しています。
銅と亜鉛の合金である真鍮は、使い込むほどに色合いが深まり、アンティークのような独特の風合いへと変化していく「経年変化(エイジング)」が最大の魅力です。この世に二つとない、自分だけの時計を育てる楽しみを提供できます。
クラシカルで温かみのある雰囲気を持ち、ヴィンテージスタイルのデザインと非常に相性が良い素材です。
チタン同様に非常に軽量な素材で、アルマイト処理を施すことでカラーバリエーションを豊富に展開できる点が魅力です。カジュアルでポップな印象を与えやすく、ファッションウォッチやスマートウォッチなどで採用されるケースが増えています。ただし、他の金属に比べて柔らかく傷がつきやすいという側面もあります。
カーボンファイバー
F1マシンや航空機にも使用される先端素材で、驚くほどの軽さと高い強度を両立しています。独特の織り目模様がスポーティで未来的な印象を与えます。
樹脂(プラスチック)
加工の自由度が非常に高く、多彩なカラーリングや形状を実現できます。耐衝撃性に優れ、手頃な価格帯のモデルやスポーツウォッチ、アウトドアウォッチで広く活用されています。
時計にラグジュアリーな輝きと圧倒的な高級感、そして資産価値を与えるのがゴールドやシルバーなどの貴金属です。
- ゴールド: イエロー、ピンク、ホワイトなど色のバリエーションがあり、ブランド独自の合金を開発することもあります。
- シルバー: 上品で落ち着いた輝きが特徴です。
経年により独特の風合いが増しますが、定期的なメンテナンスで輝きを保つこともできます。
各素材のメリット・デメリット一覧
| 素材 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| ステンレススチール | ・錆びにくく耐久性が高い ・加工しやすくデザインの自由度が高い ・さまざまな加工が可能 ・単価が安い | ・チタンに比べると重い ・金属アレルギーを起こす可能性がある |
| チタン | ・非常に軽量 ・強度が高く、耐食性に優れる ・金属アレルギーを起こしにくい | ・ステンレスより高価 ・加工が難しい ・素材本来の色味が少し黒みがかった色 |
| 真鍮(ブラス) | ・経年変化(エイジング)を楽しめる ・アンティークで個性的な風合い | ・水分や汗で変色や錆(緑青)が生じやすい ・定期的な手入れが必要な場合がある ・製造できるメーカーが少なくなってきている |
| アルミニウム | ・非常に軽量 ・カラーアルマイト加工などで多彩な色表現が可能 | ・柔らかく傷や凹みがつきやすい |
| カーボン・樹脂 | ・(カーボン)超軽量で高強度 ・(カーボン)独特の模様が個性的 ・(樹脂)加工しやすく、形状や色の自由度が高い ・(樹脂)耐衝撃性に優れ、安価 | ・(カーボン)加工コストが高く、製品価格も高価になる ・(カーボン)強い衝撃で割れると修復が困難 ・(樹脂)金属に比べると高級感は出しにくい ・(樹脂)金型を制作するため初期投資が高い |
| 貴金属 | ・資産価値 | ・非常に高価 ・柔らかく傷がつきやすい ・重量がある ・製造管理が大変 |
ブランドコンセプトに合わせた素材選びのポイント
最適な素材は、ブランドが目指す方向性やターゲット層によって大きく異なります。
- 信頼性と高級感を両立させたいビジネスウォッチ
定番のステンレススチールが最適です。美しい仕上げを施すことで、価格以上の高級感を演出できます。
より軽量性や先進性を求めるならチタンも選択肢となるでしょう。 - アクティブな若者向けのファッションウォッチ
軽量でカラー展開が豊富なアルミニウムや、デザインの自由度が高い樹脂素材がぴったりです。ブランドロゴや特徴的なカラーを大胆に表現できます。 - こだわりを持つファンに向けた個性派ウォッチ
経年変化を楽しめる真鍮や、ハイテク素材であるカーボンファイバーは、物語性や独自の価値を求める層に強くアピールできます。 - 最高級ラインのラグジュアリーウォッチ
ゴールドやプラチナといった貴金属は、ブランドの威信を示す象徴となります。
記念モデルや限定品に採用することで、特別な価値を生み出します。
まとめ:素材選びから始まる唯一無二の時計作り
時計の素材は、ブランドの顔となる重要な要素です。ターゲット顧客にどのような価値を届けたいのか、どのようなシーンで使われることを想定しているのかを明確にすることが、最適な素材選びの第一歩となります。
弊社では、長年にわたる時計製造の経験と幅広い素材調達ネットワークを活かし、お客様のブランドコンセプトを最大限に具現化するお手伝いをいたします。定番のステンレススチールから特殊な合金、先進素材に至るまで、それぞれの素材の特性を熟知した専門スタッフが、企画段階から最適な素材選びをサポート。高度な加工技術によりお客様の理想のデザインを形にします。
時計のOEM/ODM(委託製造)に関するご相談や、具体的な素材サンプルのご確認など、どのようなことでもお気軽にお問い合わせください。貴社のブランドストーリーを共に紡ぐパートナーとして、全力でサポートさせていただきます。

