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時計製造を依頼する前に知るべきデザイン作成の流れ

時計製造を依頼する前に知るべきデザイン作成の流れ

時計OEMを検討する際、「デザインはどう準備すればいいの?」と悩む方は多くいます。

この記事では、時計製造メーカーに時計製造を依頼する際の時計デザインの作成方法についてわかりやすく解説します。

時計デザインの資料は3種類

時計デザインには、大きく3種類の資料が使われます。「ラフスケッチ」「平面デザイン」「3Dデータ」。それぞれ役割や目的が異なりますが製造メーカーにデザインを伝える重要な役割を果たします。ここでは、それぞれの資料がどのように使われるのかを分かりやすくまとめました。

ラフスケッチ(手書き可)

大まかな形状・雰囲気を伝えるためのもの完成度は低くてOK・線が雑でも問題ありません。

平面デザインデータ

ラフスケッチが「アイデアやイメージを形にする」第一段階だとすれば、平面図データは「そのアイデアを、誰が・どこで見てもわかるように」ためのデザインデータです。

3Dデータ

時計の内部構造、各部品の勘合(はめ合わせ)、そして製造の実現可能性を、検証・設計していく工程です。


具体的には時計製造会社に何を伝えればいいの?

時計は数十から数百もの精密部品で構成される製品です。製造企業は、お客様の希望に合わせてケース形状や文字盤レイアウト、針の種類、バンド構造など、各パーツの仕様を丁寧にヒアリングし、最適なデザインへと具現化していきます。

部品名指示項目参考指示方法
ケース形状例:ラウンド、スクエア、トノー、クッション・ランドケース
・4つ足タイプ
ケースの厚さ・形状(側面図)ケースを横から見た時のベゼル・リューズ・裏蓋位置を支持します。搭載するムーブメントによってケースの厚さは異なります。・ベゼル厚さ:◯mm
・ケース厚み:◯mm
・裏蓋厚さ:◯mm
・合計:◯mm
文字盤レイアウト例:バーインデックス、アラビア数字、ロゴは12時位置、文字盤の色や模様・文字盤は黒・旭光模様
・型打ちのアラビア数字を配置し立体感を得る
針のデザイン 例:バトン、ドーフィン、リーフ、ペンシル・針の形状を指定する
・針の長さを指定する
*針の長さはムーブメントと針が接する点より長さを指定します。
ラグ形状・バンド接続部例:ストレート、カーブ、ラグレスケース形状と合わせて指示可能ですが、ケースとバンドを繋ぐ部分のデザインを指示します。
バックル形状例:尾錠、Dバックル、観音開き腕に嵌めたときに固定する部分のデザインを支持します。
ストラップ素材例:カーフレザー(黒)、クロコ型押し(色:茶))ストラップの素材やステッチの有無、ストラップの厚さを指示します。
その他ご希望例:リューズにロゴ刻印、裏蓋はシースルーバック、防水性能など)・リューズへの刻印有無
・裏蓋への刻印、デザイン指示
・防水性能の指示
・ケースに嵌めるガラス素材の指示

デザイン指示書(参考例)

このテンプレートは、時計デザインを行う際に必要となる 3 面図(正面・側面・裏面)の基本構造を示したライン図です。ラフスケッチや仕様検討を行うためのベースとして利用できます。ケース形状の種類によって正面・側面・裏面の3面図 を作ります。


時計デザインをメーカーに提出すると何がわかるのか

時計のOEM製造では、「デザインを提出する」=プロジェクトのスタートライン です。
メーカーは、提出されたデザイン情報をもとに、製造の可否・構造・コスト・スケジュールを判断します。
デザインを出すことで、次のような重要な情報が明確になります。

概算見積もりがわかる(最も重要)
  • ケース単価
  • 文字盤・針の費用
  • 組立費
  • 最小ロット
  • 合計概算見積もり

デザインが明確であればあるほど、見積もり誤差が小さくなます。
逆に、デザインが曖昧だと見積もり幅が広くなるため、プロジェクトの判断(予算選定)が難しくなります。

納品までのおおよそのスケジュールがわかる

必要工程を逆算しておおよそのスケジュールをお伝えします。

  • ケース金型が必要か
  • 文字盤の難易度(印刷回数、夜光、インデックス植字など)
  • バンドを外部工場に頼むか
  • 試作が何回必要か
工程期間
デザイン確定
約1〜2週間
試作(サンプル)制作約60日
量産約60〜90日
納品合計 約4〜6ヶ月

*複雑な時計・ジュエリーを使用した時計製造の期間は延びます。
*図面作成期間なども含まれておりません。

製造可能かどうかの判断ができる
  • そのデザインが物理的に作れるか
  • 改良が必要な点
  • コストを下げる代替案
  • 技術的なリスク(防水性能の担保)
推奨素材や構造の提案がもらえる

デザインを見て、より良い提案をします。

  • ケース:316L → チタンに変更すると軽くなる
  • ガラス:ミネラル → サファイアへグレードアップ
  • バンド:革の厚みを変更し耐久性UP
  • 裏蓋:スケルトン化が可能
ブランドの世界観に沿ったフィードバックが可能
  • 「そのケースサイズは女性向けなら大きい」
  • 「スポーツモデルなら防水性能を上げた方がいい」
  • 「販売価格を下げるなら針形状の変更を」

時計デザインのまとめ

時計づくりにおいて、デザインは単なる見た目ではなく、製造の可否・コスト・品質・ブランドの世界観 にまで大きく影響する重要な工程です。ラフスケッチや3面図、仕様メモが揃うと、メーカーは構造や素材、製造方法を正確に判断でき概算見積もり生産スケジュールを明確に示すことができます。逆に言えば、デザインが不明確なままだと時計製造プロジェクトは前に進まず、費用や期間のブレも大きくなります。だからこそ、最初のデザイン段階をしっかり作ることは、“良い時計をつくる” ための最も大切なステップと言えます。

時計のOEM製造やデザインでお悩みの場合は、日本製時計のプロフェッショナルチーム「Tokiji」 へご相談ください。
デザインがなくても、ヒヤリングを通してご希望のデザインをご提案いたします。

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